【The Shower/星野源】 揺らめく思春期の女の子の気持ちがなぜ解る星野源

The Shower/星野源

作詞:星野源

作曲:星野源

 

シングル『ドラえもん』のカップリング曲である「The Shower」

収録されている全ての曲がドラえもんをコンセプトにした曲になっています。

このシングルに収録されている曲が全部好きで、中でもこのThe Showerは頭と心の奥にある昔の自分が呼び起こされるような、あの日の自分と一緒に聴いているような気分になります。

 

この曲で星野さんが一曲通してファルセットで歌ってるのもすごい好きなんですよね

星野さんはこの曲をしずかちゃんをイメージして作ったそうで歌詞の節々でしずかちゃんを連想させところがちょくちょくでてきます。

その事を考えるとファルセットでずっと歌ってるのも”らしい”と言いますか、

もうこの曲ファルセットで歌う以外ないな、さすが!という感じ(えらい上からな言い方ですが)

 

この曲がめちゃくちゃ好きでCDを買ってから飽きることなく延々リピートして聴いてました。

 

またこの曲はママとシャワー以外は全てひらがなの歌詞になっていて、

実際のしずかちゃんは普通に漢字使った喋り方はするでしょうけど、この感じが大人になりたいけど子供でいたい、相反するけど共存する気持ちの表れなのかなぁと妄想します。

 

ここら辺は星野さんがパーソナリティーを務めるオールナイトニッポンで詳しいお話ししているので気になる方はチェックしてみてください。

星野さん自身の口から楽曲のことが聞けるって素晴らしいなぁ、と思いながらこっから先は前回同様好き勝手妄想して語ります。

 

ほうかごすぐにママの ならいごと

きれいにおえてきょうも はじめましょう

 

ママのならいごとってところが自分から始めたのではなくママに言われて始めた感じがします

きれいにおえてってところもまたしずかちゃんの優等生っぷりというか品行方正さを自分自身で皮肉ってる感じもする

(その割にはバイオリンの腕が一切成長してないけど)

 

かがみのなかのきみは どのわたし

てのひらみつめるのは どのわたし

 

人って一つの自分だけじゃなくて沢山の自分がいると思ってて、

大切な人の前の自分と嫌いな人の前の自分は当然違うし、その違いに折り合いを付けられない時期もあって

鏡を見ていると見慣れたはずの自分の顔が別人に見えるときが今でもたまにあります

この曲のしずかちゃんもそんな感じだったんじゃないかなぁ

 

いつまでも このままで

いるかしら このままで

 

そしてそんな自分に不安も覚えていて、

こんな不安定な物をいつまで抱えているのだろうっていうちょっとした怖さもあるんじゃないかなぁ、なんて妄想

 

かなしみは あめのような

シャワーのなか せなかをなでたわ

 

背中を”打つ”のではなく”濡らす”でもなく”なでた”のが好きポイント1

多感な時期の一人でいられる数少ない場所であるお風呂

周りの人を疑ってしまったり気を使って心が疲れるなかでほっと一息付ける優しい場所で浴びるシャワーは大げさでもなんでもなく、せなかを優しくなでてくれたんだなぁ

 

ちょっと脱線しますがこの曲を聴くと思い出す記憶の一つに、

ちびまる子ちゃんの単行本に掲載された書下ろし漫画で、さくらももこ先生の学生時代の恋の話がありまして、

その人の苗字と自分の名前をくっつけたり思春期特有の妄想をしてたのですが、その恋は破れてしまいます

失恋したももこ先生は家族の前ではいつものように普通に過ごし、

そしてお風呂の中で一人隠れて泣いていました

 

お風呂だけが唯一一人になれる場所で、そこで静かに泣くお話をこの曲を聴く度に思い出したます

どの巻に収録されてたのかどんなタイトルだったのかも思い出せないけどそのシーンは今でも覚えてます

 

いつのひも あわのなか

ひめて さよなら

 

ここが、この部分が本当に好きで

お風呂という完全一人きりプライベート空間で誰にも見せない、見せられない、見せる気もない悩み、悲しみ、怒り、やるせなさ、切なさ、全てのマイナスな物を泡に隠して流す、という

 

泡っていうのもまた、なんか泡に包むと出てこれない感じあるじゃないですか

例えが最悪だけど昔ゴキ〇リを泡で包んで捨てる商品があったように

泡にすると出てこれないし見えないで流せてしまうイメージがあるんですよね

 

しずかにたまるあいが むねのうち

のどまであふるむねの いつくしみ

 

このしずかにってしずかちゃんとかけてるのかな?

ドラえもんの歌詞にもあったけどこうゆうの素敵

ここらへんからちょっと恋愛要素が入ってくる

小学生ながらの母性も感じる

 

いつのひか はばたいて

いるかしら はばたいて

 

いまのしずかちゃんはまださなぎ

でもとてもな蝶になって羽ばたきます

どうでもいいけど大人しずかちゃんがショートカットなのいいですよね

 

かべぬけて くるかれに

わすれかけて

 

ここ、この彼ってやっぱのび太くんかなぁ?

そうだとしたらこの、かべぬけてってところが本当にのび太くんらしい

しずかちゃんが張った誰にも入ってほしくない壁を、

例えばジャイアンなら壊してしまいそう

出木杉君ならわざわざノックしてしまいそう

でものび太くんはこっちが気づく前に、いつの間にか壁をすり抜けて入ってきてそう

自分が壁を作っていたことすら忘れてしまいそうな

そんな気にさせるのはのび太くんだけじゃないかなぁ、なんて

 

だれもきみのほんとをしらないし

ほんとのわたしをだれもしらないわ

 

この歌詞の部分の解釈が私には難しいのですが、

思春期の誰もが敵のように思ってしまうなかで、

今見てるのび太くんを測りかねてるのかな、と

そりゃ壁抜けて入ってくるような奴だから何考えてんだ?って思うしこの人本当に信用していいのか?っていう多少の不信感はあるかもしれない

 

そして自分自身へのこの時期の、不安定だけど自分しか信じられないような周りへの不信感

ほんとの私のことなんて誰もわかってくれない…

っていうのは思春期の女子は一回はやるやつ

多分あれだと思う

 

この曲はこの、思春期の不安定で外からの情報に過敏になって、

誰にも相談できず心をどこに置いたらいいか分からない揺らめく気持ち

この時期の女子特有の、この、繊細なこの気持ちを

しずかちゃんを通して作り上げる星野源が改めて天才だと思い知らされた曲です

 

この曲を聴き終えたときのふわっとした気持ちは何回聴いても褪せることなく、

今でもふとした時に頭に歌詞が巡る曲の一つです

 

今回は星野源さんのThe Showerの曲について妄想を語り散らかしました。

宜しければまた次も読んでください。